ラジオとパソコン

2015年3月5日

 いろいろとやることが多くて、どうもこのブログはなかなか書けない。「月に4本」と目標を定め、1月はなんとかクリアしたが、2月はたった1本でさんざんの結果だった。だが、このブログは私がネット社会と繋がることになった原点なので、やはりここにしっかりと軸足を据え、末永く書き続けて行きたいと思う。
 さて、今日は音楽以外の話をしよう。音楽以外に私の好きなことと言えば、いろいろあるのだが、今日はラジオの話である。
 今や、情報を得る手段としてはネットやテレビが主流だが、私はやはりラジオから離れられない。ラジオは、聴いている相手が目で見ていないことを前提に放送するのだから、私には理想のメディアだと言える。練習に疲れると、ニュースや音楽など、ラジオ番組で気分を変える。今は、FMで放送している「青春アドベンチャー」というドラマにはまっている。この年で「青春」はないよな、と自分でも思うのだが、ラジオドラマはほとんどないので、時々これを聴く。
 3月末になれば、いよいよ私の大好きなプロ野球の開幕である。去年から「ラジコプレミアム」というサービスに登録し、全国の民放がパソコンやスマホで聴けるようになった。これは、プロ野球ファンの私にはなによりのプレゼントだ。東京では放送されない阪神、広島、楽天、日本ハムなどの主催試合を、毎日聴くことができるのだ。
 だが、実際には毎日野球ばかり聴いているわけには行かない。中学生時代、ヴィブラートが下手だった私に、鷲見三郎先生は「野球を聴きながらで良いからヴィブラートの練習をしなさい」と言われたものである。とは言っても、練習しながらでは落ち着いて試合を楽しむことなどできない。そこで、パソコンを使ってラジコを録音しようということになる。録音しておいて、寝る前や朝起きる前などに、ところどころつまみ聴きする。これがまことに楽しいのである。
 ただ、ラジコを録音するソフトが問題である。画面を見なくても操作できる製品となると、ほとんどないのが現状だ。ところが、1月の末に「スクリーンリーダー対応」と歌ったソフトを見つけた。これが「迷走」の始まりだった。
 「視覚障害者のウィンドウズ活用メーリングリスト」なるものがあり、私は2000年からずっと会員になって、わからないことを質問してはアドバイスをもらっている。この「ネットラジオレコーダー」というソフトについても、ここでいろいろ教えてもらいながら、操作を覚えていった。だが、スクリーンリーダー対応といっても、あちこち読み上げないところがあり、別のスクリーンリーダーを用いてやっと読み上げさせるという手の込んだ作業をしなければならなかった。
 どうやら再生や録音、予約録音などもマスターしたが、決定的な問題があった。外出中に野球を録音しようというような時は、パソコンをスリープにして出かけ、録音の時間になったら電源が入って、終わったらまたスリープになる、といった省エネ対策が必要だ。だが、このソフトはそれができない。電源を入れ、ソフトを起動させておかなければ、予約録音は働かないのである。
 これでは使い物にならない。困っていると、「タスクスケジューラを使ったら」とのアドバイスが来た。今まで一度も開いたことのないタスクスケジューラを起動し、ネットなどで使い方を調べながら設定し、これで私の期待した作業ができるようになった。
 だが、どうもあちこち面倒なことが多い。もうちょっとやりやすくならないか、と考えていると、ラジオグラバーという別のソフトがあることがわかった。少し値段が高かったが、これも購入して使ってみた。最初は操作が難しかったが、慣れてくるとこちらの方が使いやすそうだと思うようになった。
 このソフトには、スリープから復帰して予約録音をする、といった設定があるのだが、残念ながら私のパソコンではうまく動作しない。発売元のホームページに「動作しないパソコンもある」と明記されているので、文句は言えない。いろいろ試しているうちに、ネムネムというパソコン管理ソフトを勧められた。これも操作が難しかったが、視覚障害者のパソコン利用をサポートするラビットという親切な会社のアドバイスを受けて、ようやく自力で操作できるようになった。
 ソフトによっては、キーボードだけでは押したいボタンにたどり着かなかったり、ボタンは見つかっても、エンターキーやスペースキーでは動かず、マウスしか受け付けないものもある。こうなると、私たちにはお手上げであり、こういうソフトが実に多いのだ。でも、工夫すればそのボタンが押せるようになったり、コマンドを選択する場所にフォーカスを合わせたりできるようになる場合もある。
 一人でやっていると、はたして解決法があるのか、それとも全く無理なのか、その辺の見極めができない。ラビットのスタッフは、質問を投げかけると、実際に同じ操作を試して解決法を探してくれたり、遠隔操作によって私のパソコンの画面を見ながら、一緒に操作して教えてくれたりする。荒川さんという全盲の技術者が立ち上げた会社だが、私はこの兎君に多大な恩恵を受けている。
 とにかく、どうやらプロ野球を録音する準備が整った。今年は、去年以上にペナントレースの試合が楽しめそうで、今からわくわくしている。「70歳記念演奏会」の当日も、日曜日だから全国でデーゲームが行われるはずだ。東京では、土日のプロ野球中継がほとんどなくなってしまったが、地方ではまだまだ熱心に野球のラジオ放送をやっている。おそらくこの日も、なにか録音しておいて、それを聴きながらコンサートの疲れを癒すことになるだろう。楽しみなことである。