久しぶりの日記

2021年12月20日

 ずっと更新していなかった私のブログを、また始めたいと思う。なぜブログの更新から遠ざかってしまったのか、自分でもよくわからないのだが、日々起こっているさまざまなことについて自分の考えを書き残したり、日々の生活でのさまざまな経験を書き残すことが面倒になった、という気分で、あまりブログを書くという行為と向き合う気持ちになれなかったのである。一つには、頭の回転が少しずつ遅くなってきて、過去を振り返ってブログを書く余裕がなくなってしまったのかもしれない。
 たとえば、以前は移動中の車や電車の中で、よく書物をしていたが、今は何もせずに座っていることが多くなった。仕事や練習をしていても、疲れやすくなって休憩を取る頻度が増した気がする。3日か4日に一度、新しい日記を書いてはアップしていた、20年ほど前が懐かしい。
 だが、私は今の自分も素直に受け入れて、楽しく生きて行きたいと望んでいる。能率が落ちたことを嘆くより、毎日の生活を楽しみ、今できることを、無理のない範囲でしっかりやる。そんな生活を続けて行きたいと考えている。
 コンサートの減少、大学の定年退職、そしてコロナなど、情勢の変化が私の生活のリズムを変えてしまったのは事実だが、最近はそのリズムにもだいぶ慣れてきた。レッスンの回数が減って、あちこちに隙間ができてしまったような空虚感を味わっていたが、いつの間にかまたレッスンが少しずつ増え、けっこう忙しくなっている。一人一人、工夫しながらレッスンをすることに新たな生き甲斐も生まれつつある。生徒の発表会は、今年は参加者がかなり減って寂しいものとなったが、来年は定年前を一人上回る12人が出演してくれることになり、1月22日に五反田文化センターで開催する。最近、中国の北京から移住してきた一家の、小学6年制の長女が私の門下に入り、来月の発表会に初登場する。まだまだ幼い演奏ではあるが、他の民族の人とこうして関われる喜びは、例えようもなく大きい。1年後、2年後に、この女の子が一人の人間としてどんな成長を見せてくれるのかが、本当に楽しみだ。
 古い生徒が戻ってくるケースも増えており、自分と比較的年齢の近い人にアドバイスを与える機会もある。これはこれで、子供を教えるのとは異なった楽しみや苦労がある。「すべてが経験になるんだ」と実感するこのごろである。
間もなく、今年最後のコンサートである「クリスマス・バッハシリーズ」の当日がやってくる。今は、1日から2日おきにチェンパリスとの上尾直毅さんとリハーサルを重ねているが、彼のアイディアはとても新鮮で、私はバッハ演奏に新しい楽しみを見出しつつあるような喜びを味わっている。「素晴らしい音楽があるからこそ、こうした新しい出会いも生まれるのだ」と、音楽への感謝の念は増すばかりだ。そうした今の気持ちを、今週末のコンサートで表現できたら幸せだと思う。健康に注意し、良いコンディションで当日が迎えられるように気を配りながら、これからの日々を過ごそうと思っている。