毎年、夏の間は自分で「戦時下」と言っているほど、私は心身の緊張した状態で過ごす。サマーコースとサイトウ・キネン・オーケストラ、どちらも大切な、そして気の抜けない仕事である。サマーコースのさなかに、「そちらは涼しくて快適でしょうね」などとメールがい届いたりすると、「そうかなあ、快適かなあ」と考え直さなければならないほど、かなり疲れた状態で頑張るのが常である。
ただ、今年は日程の関係で、8月8日にサマーコースが終わってから、今日の室内楽セミナーの開始まで、ゆっくり休みを取ることができたので、今のところ体調には問題がなさそうだ。それでも、先週末は一時的に東京へ戻ってレッスンなどしているうちに激しい疲労を覚えたが、昨日八ヶ岳に戻ったらすっかり元気になり、今日は実に爽やかな気分だ。若くはないのだから、疲れる日があっても仕方ないだろう。こうして自分の「元気」を実感できる喜びは、たとえようもない。
ところで、今日の午後になるとセミナーの受講生が到着し、早速レッスンが始まる。元々は、1999年にピアニストのためのセミナーとして企画したものだが、最近はヴァイオリンやチェロの受講者も受け入れ、それぞれ講師と共演しながら音楽作りを体験してもらおうというセミナーに変わってきた。今年は、これまでで最高の9人が受講するが、弦が6人、ピアノが3人と、比率が逆転してしまった。それはそれで嬉しいことだが、来年はもう少しピアニストの参加を促したいところだ。
昨年は、受講者が少なくて時間をもてあますほどだったが、今年は休憩時間を切り詰めなければならないほどのぎっしりしたスケジュールで、曲もベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、フランクと多彩である。金曜日までの短期セミナーだが、どんなことが起こるか、とても楽しみだ。聴講者も多く、部屋が混み合いそうだが、張り合いを持って臨むことができて実に嬉しい。受講者一人一人にとって、実りある楽しい時間となることを願っている。
今日から室内楽セミナー
2015年8月18日