後悔は先に立たず

2016年12月25日

 「クリスマス・バッハシリーズ」のコンサートは無事に終わり、多くの方々から嬉しいご乾燥をいただいた。ほとんどのお客様にとって初めてと思われるレーガーの曲も、予想以上に好評だった。アンケートで、一人の方から×をいただいたが、私はもっと多くの×が付くのではないかと案じていたのだ。演奏前のトークも喜んで頂けたし、音の作り方など、練習してきたことがある程度うまく行って、私としても幾分かの達成感を味わうことができた。
 しかし、大きな課題も残った。思わぬところで集中力が減退し、小さなミスや音の乱れが出てしまった。もしライブでCDを作っていたら、絶対に通らないようなミス。そういうものを減らすのが今年の一つの目標だったのに、その意味では練習の成果を発揮できなかったのである。
 弾きながら「おやおや」と思ったところが何カ所かあったのに、 終わった後の興奮と達成感からそれを忘れ、妻や甥夫婦と楽しく食事をした。だが、夜更けになって録音を聴き、実際に自分のしたことを知ったら、激しい後悔に襲われて眠れなくなってしまった。後から悔んでもどうにもならないのだが、「自分は何をやってきたのだろう」と情けなくなった。もし今後も弾き続けて行くのなら、こんな情けない思いは味わいたくない。しかし、どんな練習をすればそれが防げるのだろう。頭の老化と運動能力の低下の中で、それを防ぐ方法があるだろうか。
 だが、お客様は喜んで聴いてくださった。寛大な心で、私の音楽の良いところを受け入れてくださったのである。その寛大さに甘えてはいけないが、もし弾くのを辞めてしまったら、あの素晴らしい一体感や音楽を通しての心の交流が、永久にできなくなってしまう。それは悲しいし、おそらく今の私には耐えられないだろう。
 となれば、やはり練習を積み、少しでも不本意な部分の少ない演奏に持って行く努力をするしかない。当面の目標は、4月に予定している岩崎洸さんとのCD録音だが、そこで、「何度も撮り直し」などということにならないよう、しっかりと自分を鍛え直すことにしよう。結局は、それしか私の生きる道はないような気がする。