Clubhouse という新しいSNSの存在を知ったのは、先週の金曜日、2月5日のことだった。妻が新聞を読んでいて、「これはあなたに向いているかもしれない」と教えてくれたのだ。
画像を伴わず、声だけでコミュニケーションをする、というアイディアは、確かに私を惹きつけた。iPhone向けのアプリが出ているとのことで、早速それを手に入れた。使い方などはパソコンで検索し、情報を取り寄せた。
完全な招待制のSNSなので、誰か招待してくれる人がいなければ参加できない。「声でコミュニケーションを取るので、視覚障碍者には興味を持っている人が多いのではないか」と考えて探りを入れたが、反応は以外に冷ややかだった。えてしてそんなものかもしれない。
日曜日に、私はとりあえずユーザー登録をした。アプリは英語なので、日本語よりは時間がかかるが、さほど我々にとって使いにくいアプリではなかった。「登録しておけば、いずれ招待します」みたいなメッセージが表示されたので、ダメもとで手続きだけをしたのだった。
ところが数時間後、「あなたは招待されました」と通知が来た。中身を読むと、招待してくれたのは5年以上前に八ヶ岳に参加したことのあるヴァイオリニストだった。「へえ、彼が呼んでくれたのか」とちょっと感動しながら、一応彼に確認のメッセージを送った。すると、彼も数日前に参加したばかりで、私の名前を見つけて何気なくポチッと押したのだとわかった。要するに、招待する気ではなく、間違って押してしまったということらしかった。
それでも、私はすでにメンバーシップを獲得していた。そこで、仕事の合間を見つけて懸命に研究し、月曜日の夜に「クラブハウスデビュー」と称して自分の部屋を開き、おしゃべりを始めた。すると、音楽家が3人、他にも数人が聴きに来てくれた。
だが、スピーカーとして誰かを指名するのに手間取り、ようやく3人に登壇してもらったところで、気が付くと他の人がいなくなっていた。「音楽家が専門的な話をしているらしい」と思われてしまったのかもしれないが、それでも3人の20代の音楽家との語らいは、まるで夢のように楽しいものだった。
しかし、昨夜は一人の訪問者もなく、20分ぐらいしゃべって引き上げた。今夜は二人が来てくれたが、一人はすぐに消えたので、残る一人としばらくしゃべっていた。
こんな感じでいつまで続くか、見当も付かない。それでも、私はこの「新型SNS」にとても興味がある。中には、1000人もの人が聴く部屋を主催している元気者もいるが、私は静かに、ゆったりとクラブハウスを楽しもうと思う。できれば10人ぐらいは話を聴きに来て欲しいと願っているが、いつになったら達成できるか、それもまた楽しみというものだ。
こんなレクリエーションにはまっていて良いのか、と疑いの声も自分の中から聞こえてくるが、まあしばらくはやりたいようにやらせてもらうことにしよう。
新しいSNS クラブハウス
2021年2月10日