病気が治って

2013年3月8日

 2月20日にベルリンから帰国した私は、翌朝激しい腹痛で目を覚ました。その日は1日中何も食べられず、医者へ行く元気も出なかった。翌日になって幾分落ち着いたが、体温がやや高めの状態が続いた。おそらくウィルスにやられたのだろうと想像できたが、今回は医者には行かず、自然治癒力を信じてやってみることにした。
 結局寝ていたのは3日間で、その間もピーター・ウィスペルウェイの無伴奏リサイタルを聴きに行ったり、生徒のレッスンをしたりしていた。4日目の2月24日からは普通の生活に戻し、間もなく体温も平熱に下がって、食事も取れるようになってきた。体重が2キロほど痩せて喜んでいたのだが、今週に入ってすっかり元に戻ってしまった。また、寝ている間に腰痛も起きて苦労をしたが、これはマッサージなどの治療を受けてほぼ回復。今は健康体に戻った喜びを実感している。
 ところで、最近私は、自分がかなり飽きっぽい性格なのではないかと思うことが多い。本来、飽きっぽい人には演奏家などという職業は向いていないはずだ。同じ曲を何度も何度も繰り返し練習し、進歩があるのかないのかわからなくてもそれでもひたすら練習し、気が付いたら少しだけ上達している、そんな状態でずっと音楽と付き合って行く仕事なのだから、練習や作品に飽きてしまったら、もうそこで終わりである。その点、私は音楽面では飽きることがないのだが、それでも練習の仕方などがいささか淡泊かもしれないと、反省することもある。もっとうまくなりたいなら、もっとねちっこく練習すること、もっとさまざまな工夫を凝らしながら練習することが必要だったのではないか……。今更そんなことを言っても遅いかもしれないが、自分の性格をもう少し早い段階で自己分析しておけば良かったかもしれない。
 なぜ「飽きっぽい」と思うようになったかといえば、それは趣味のパソコンの話なのである。下手な横好きだが、私は「趣味はパソコンいじりです」と公言してはばからないほど、パソコンに向かっているのが好きである。去年の年末からはYoutubeに動画を投稿する方法をマスターしたり、iTunesを使いこなそうと奮闘したり、さらに新しいホームページができると、自分で内容を更新することに熱中して、どうすれば画像や音声を独力で公開できるかを懸命に研究した。
 だが、それらが一通りわかってみると、もう全く顧みない。だから久しぶりにやろうとすると、全部忘れている。これでは、いったい何のためにあれほど熱中したのか、全くわからないではないか、と自分に腹を立てているのだ。
 特に、ホームページは多くの方が見てくださっているのだから、きちんと更新して行かなければならない。「公式ホームページ」と名付けている以上、これはもう道楽ではないのだ。でも、1月頃は自分で更新できるのが嬉しくて、あんなにいじり回していたのに、最近はすっかりおっくうになってご無沙汰しっぱなしだ。あれほど熱中したフェイスブックも、最近はあまり訪れることがない。いったい自分はどうなってしまったのだろう。
 いやいや、そんなことを言っていても始まらない。もう病気が治ったのだから、心も活性化させなくてはいけない。先週は代々木公園でのウォーキングをキャンセルしてしまったが、来週はちゃんと出かけようと思っている。ヴァイオリンの練習はもちろんだが、他のことにももっと活発になり、2013年の春を大いに楽しまなければと自分に言い聞かせている。