第21回和波たかよしアフタヌーンコンサート

2009年6月14日

ちらし画像2009年6月14日(日)午後2時
東京文化会館小ホール
Sun. June 14, 2009 at 2,00p.m.
Tokyo Bunkakaikan Recital Hall

第21回和波たかよしアフタヌーンコンサート
Takayoshi Wanami Afternoon Concert XXI
<ピアノトリオの魅力 -- チェロの岩崎洸氏を迎えて>

ヴァイオリンとお話し:和波たかよし
チェロ:岩崎 洸
ピアノ:土屋 美寧子

Takayoshi Wanami: Violin & talk
Ko Iwasaki: Cello
Mineko Tsuchiya: Piano

<プログラム>
◎ハイドン:ピアノトリオ ハ長調 Hob. XV:27
J. Haydn : Piano Trio in C Major Hob. XV:27

◎ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタ
C. Debussy : Sonata for cello and piano

◎ドビュッシー:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
C. Debussy : Sonata for violin and piano

◎ベートーヴェン:ピアノトリオ 第7番 変ロ長調 op.97 「大公」
L. v. Beethoven : Piano Trio no.7 in B flat Major op.97

全指定席 A \5,000  B \4,500

主催: K 梶本音楽事務所
後援: 桐朋学園大学同窓会  日本弦楽指導者協会

念願のトリオで楽しい午後を

和波たかよし


なぜか、岩崎洸さんのことを考える時、私の心に「幼なじみ」という言葉が浮かんできます。彼と初めて会ったのは高校生の時だったので、厳密には幼なじみではないのですが、少年時代を楽しく過ごした仲間として、ほのぼのとした気持ちで当時を思い出すのです。

彼は、すでに高校1年生で日本音楽コンクールの第1位に輝いた逸材であり、私には眩しいような存在でした。それが、桐朋学園大学では同級生となり、連れだって登下校したり、他の仲間と共に渋谷あたりの名曲喫茶でおしゃべりに興じたり、正月は我が家でトランプをしたりと、楽しい友達付き合いが続きました。唯一の視覚障害学生だった私にとって、岩崎さんは互いに「こうちゃん」「たかちゃん」と親しく呼び合える、掛け替えのない友達だったのです。

数年後、岩崎さんと私は偶然イタリア・シエナの夏期講習の室内楽クラスで、一緒に勉強することになりました。この時はフランスのピアニストと組んでトリオを弾いた他、締めくくりの発表会では、それぞれドビュッシーのチェロソナタとヴァイオリンソナタを演奏しました。妥協を許さぬ厳しさで作品と取り組んでおられた岩崎さんの様子を、今も懐かしく思い出します。

さて、この「アフタヌーンコンサート」では、主に若手の共演者を迎えて室内楽をお届けしてきましたが、今回は私と土屋美寧子が以前から熱望していた岩崎さんとのトリオが実現することになりました。選曲に当たっては、3人でディスカッションを重ねた結果、今年が没後200 年の記念に当たるヨーゼフ・ハイドンの作品と、トリオの最高峰とも言えるベートーヴェンの「大公」を演奏することに決めました。また、岩崎さんに何かソロの曲をとお願いしたところ、ソロではなく、ドビュッシーのチェロソナタを弾きたいとのリクエストだったので、40年余り前のシエナの思い出を再現したくなって、私もヴァイオリンソナタを聴いていただくことにしました。

演奏家として、また指導者として、日本とアメリカを股にかけて精力的に活動しておられる岩崎さんをお迎えして、軽妙洒脱なハイドンと、壮麗で深い内面性を持つベートーヴェン、さらに温かな親しみやすさと異国情緒を併せ持つドビュッシーの作品でどんな音楽作りができるのか、わくわくするような興奮を覚えます。もちろん、いつもの「アフタヌーンコンサート」と同様、お話しを交えながらアットホームな雰囲気で演奏をお聴きいただきます。「クラシックは難しそうで」とためらっておられる方も、ぜひお出かけ下さい。多くの皆様が、私たちのトリオと共に楽しい午後をお過ごし下さることを願っています。