第23回和波たかよしアフタヌーンコンサート<トークと2つのヴァイオリンの饗演>

2011年7月9日

チラシ第23回和波たかよしアフタヌーンコンサート
Takayoshi Wanami Afternoon Concert XXIII
<トークと2つのヴァイオリンの饗演>

2011年7月9日(土)
午後2時 東京文化会館小ホール
Sat. July 9, 2011 at 2,00p.m.
Tokyo Bunkakaikan Recital Hall

ヴァイオリン:和波 たかよし
ヴァイオリン:田島 高宏
ピアノ:土屋 美寧子

Takayoshi Wanami: Violin
Takahiro Tajima: violin
Mineko Tsuchiya: Piano

<プログラム>
◎シュポア:二つのヴァイオリンのための二重奏曲 ニ長調 op.67 no.2
L. Spohr Duo in D Major for two violins op.67 no.2
◎ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第6番 イ長調 op.30 no.1(和波+土屋)
L. v. Beethoven Sonata no.6 in A Major for piano and violin op.30 no.1
◎スーク:ヴァイオリンとピアノのための四つの小品 op.16(田島+土屋)
J. Suk Four pieces for violin and piano op.16
◎プロコフィエフ:二つのヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 op.56
S. Prokofiev Sonata in C Major for two violins op.56
◎サラサーテ:ナヴァラ op.33 (二つのヴァイオリンとピアノのための)
P. de Sarasate Navara for two violins and piano op.33

全指定席 A \5,000  B \4,500

主催:AMATI
後援:日本弦楽指導者協会

師弟共演でヴァイオリンの魅力を

和波たかよし


 今回は、1992年から8年余りにわたって私の許で学び、現在は北西ドイツフィルハーモニーの第1コンサートマスターを務める田島高宏君を迎えて、私とのヴァイオリン二重奏にピアノの土屋美寧子との共演も加えて、さまざまな角度からヴァイオリンの魅力に迫ってみようという企画を立てました。
 
 中学2年生で初めて私を訪ねて来た時、田島君は音楽が大好きで心の素直な少年でしたが、どこか頼りなげな感じも受けました。しかし、次第に私が伝えようとする音楽のイメージをしっかりと受け止めて、期待以上の表現で返してくれるようになりました。2001年には桐朋学園大学を主席で卒業。同時に札幌交響楽団のコンサートマスターに抜擢されました。さらにドイツのフライブルク音大でライナー・クスマウル教授の薫陶を受け、2008年から現職にあって、オーケストラのみならずソロや室内楽など、幅広い活躍を続けています。8年前から、田島君は私が主宰する「八ヶ岳サマーコース&コンサート」のヴァイオリン・アシスタントとして、演奏と指導の両面でその能力を存分に発揮しています。若い参加者と無邪気にふざけ合っていると思えば、一転して音楽への非常に厳しい姿勢を見せるなど、その魅力的、かつ奥行きの深い人柄で、サマーコースに楽しさと活気を与えてくれています。心の奥から紡ぎ出される一音一音の美しさと、緻密で丁寧な音楽作りは、私にも多くの示唆を与えてくれるようになっています。そうした田島君とのデュオでどんな世界を描くことができるか、それが今回のコンサートでの私の大きな楽しみなのです。
 
 ベートーヴェンより14才年下のドイツ人で、ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾだったシュポアの華やかで技巧的なデュオ、精緻で澄み切った美しさをたたえたベートーヴェンのソナタ第6番、ドヴォルザークの娘婿に当たるスークの情熱と愁いを含んだ「四つの小品」、ヴァイオリン同士の入り組んだ絡みと強烈なリズムが印象的なプロコフィエフの「二つのヴァイオリンのためのソナタ」、そして明るい太陽と陽気な人々の営みを描いたようなサラサーテの「ナヴァラ」を演奏します。また、合間のトークでは、田島君にドイツでの日々について話を聞くなど、彼の人となりをご紹介しながら、音楽による世代を超えたコミュニケーションの素晴らしさをお伝えしたいと考えています。多くの皆様が、この機会に「ヴァイオリンの新たな魅力」との出会いを味わってくださることを、心から願っています。