小澤さん、お誕生日おめでとうございます

2015年9月1日

昨夜の朝日新聞に、OMFのオペラ批評が掲載された。小澤さんの降板によって、あまり覇気のない上演になったという評価だった。たしかに、そう言われても仕方がない面があったと、私も29日の上演を聴いて感じた。
 だが、オーケストラも含めて、出演者は非常に頑張っていた。なんとか良い演奏を作り上げようと、懸命な努力の跡が随所ににじみ出ていた。あとは、やはり指揮者が強いリーダーシップで音楽を引っ張ってゆくしかない。
 小澤さんは、並々ならぬ意欲を持って今回の「ベアトリスとベネディクト」に取り組んでおられた。降板がどれほどつらいものであったかは、察するに余りある。その意思をみんなで受け継いで、何とかしようとした結果が今回の上演だった。急な降板だから、相応しい指揮者を見つけることができなかったのはやむを得ないところだが、今後に向けて、小澤さんとフェスティバルの事務局は、お客様をがっかりさせないためのさまざまな配慮を強いられることになるだろう。
 私たちメンバーは、与えられた仕事を精一杯頑張ってやり遂げることしかできない。企画者の責任の重みは、気の毒になるほど大きいと思う。
 さて、今日は小澤さんの80歳のお誕生日である。それを祝うコンサートが16時から開かれ、小澤さんも1曲指揮を執られる。まだ骨折が完全には癒えておられないと聞くが、我々の前に立って指揮をしてくださっているその様子に、私は強く心を打たれる。
 事務局は、多くの出演者への対応などに追われて、非常に忙しそうだ。名前を変えて再出発したフェスティバルを象徴する、素晴らしいイベントになることを祈りながら、間もなく会場へ向かう。