トンネルの出口は近い

2012年6月23日

私の周りには、毎日いろいろな出来事が起こる。それらをこまめに取り上げて書き込みたいが、なぜか最近は、気持ちの整理が付かないうちにどんどん日が過ぎてしまう。出来事をただ書くのではなく、それについての感想や論評も加えながら、などと思っていると、何をどう書いたら良いかがわからなくなってしまう。これも、頭が老化しつつある徴候なのだろうか。

今月は、40年ぶりに高校時代のクラス会が開かれ、20人中11人が出席して、それぞれが素直に卒業後の生活や現在の心境などを語り合った。私にとっては、かけがえのない素晴らしい時間であった。一方で、どうしても「コンサートの機会がない」という事実が心に重くのしかかって、気持ちを沈ませてしまっていた。「暗くなっていても何も解決しない」とはわかっていても、心のコントロールがままならず、悶々と過ごす日も少なくなかった。

4月半ば以来、私はコンサートから遠ざかっている。だが、どうやらその長いトンネルも、出口が見えてきた。来週は、9月以降に4カ所でトリオの演奏会を行う岩崎洸さんと、シューベルトのトリオの集中練習をする。今、弓使いなどの基本的なことを決めておいて、夏の間3人でそれを暖め、9月にまた練習して本番を迎えようというのだ。また、7月28日の「八ヶ岳サマーコンサート」の準備も進んでいる。去年と同じように、終演後の交流会を行うことが決まったし、来月初めには現地へ行って最終的な打ち合わせをする。

コンサートに向けて種々の準備をするのは、実に楽しい仕事だ。そこに喜びを見いだせるからこそ、聴きに来てくださる方々に満足していただける演奏ができるのだと、私は信じている。もちろん、演奏会はなくても練習はする。それは、自分の音楽を高めるために欠かせない日課だ。ただ、3ヶ月も本番から遠ざかった経験があまりなかった私は、「仕事が少ない時は心身を休めて英気を養えばよい」とわかっているのに、それとは逆に、「なぜコンサートがないのだろう。どうすればよいのだろう」と、そんなことばかり考えて無為な日を過ごしてしまった。まことに持って、困った性格である。

あえて自己弁護をすると、私はそれだけ音楽が好きなのだ。演奏することが、たまらなく好きなのだ。そして、音楽に対する愛情の深さは誰にも負けないと自負している。そうした「音楽の素晴らしさ」を、自分の経験を通して伝えて行きたいというのが、「和波たかよし八ヶ岳サマーコース&コンサート」である。コンサートは、地元の実行委員の方々のご理解とご協力で、一応軌道に乗っているのだが、肝心のコースの方が、参加者の減少でピンチに立たされている。もちろん、参加者が少なくても、私たちと一緒に勉強したいと望む受講者がいてくれる以上、コースは続けて行きたいと考えているが、経済的損失を重ねながらの継続は難しいし、このままでは重大な決心をしなければならない事態にもなりそうである。とりあえず、今年の受講申し込み締め切りを延長し、当分の間お申し込みの受付を続けることにした。大自然に恵まれた八ヶ岳南麓の別荘地で、私たちと共に音楽と取り組む夏を過ごすために、多くの方々が集まってくださることを、心から願っている。