今年はデビュー50年

2013年1月9日

 2013年が開けて、早くも9日目となった。私は、家で穏やかな正月を過ごし、6日からはレッスンを再開。通常の生活に戻っている。
 目下の急務は、6月9日に紀尾井ホールで開く「デビュー50周年記念リサイタル」のチラシに掲載する原稿を準備することだ。音楽事務所から「そろそろ」と言われて、次の連休前には絶対に終えなければならないのだが、なかなか進まなくて困っている。
 チラシにメッセージを書くようになって久しいが、書く度に自分の文章力のなさを嘆きたくなる。それでも、「ご本人の言葉があった方が良い」との意見が多いし、注目して読んで下さる方もあるから辞めるわけにはゆかない。ただ、あれもこれもと欲張って書くと長くなって収拾が付かないし、短くすると「これでは言いたいことが伝わらないな」と物足りなく思うし、そうした決断力のなさにもうんざりする。
 だが、ふと原点に立ち返ると、「こうして自分の言葉でなにかを伝える場が、私にはあるのだ」と感謝の念が胸に湧き上がってくる。紀尾井ホールのステージでブラームスを弾いている自分を想像すると、それだけで幸せな気分が戻ってくる。「ああ、これを文章にしたい」と強く思う。
 だが次の瞬間、「どんな文章を書いたらお客様に興味を持っていただけるかな」と現実に引き戻される。とにかく多くの方々に集まっていただき、聴いていただくことしか、我々の存在を意味のあるものにする手立てはないのだから、せっかくのリサイタルをできるだけ広範囲に告知し、たくさんの方々に
来ていただけるように考えなければならない。ブラームスという真面目な選曲だからこそ、そこはしっかりやらないといけない。とにかくそんなわけで、今の私はパソコンの前にいる時間が長い。さあ、もう一度原稿のファイルを出してみよう。