平和の尊さを

2010年10月26日

 ついこの間まで猛暑に苦しめられていたのに、もう冬の始まりのような冷たい風が東京に吹いてきた。季節の移り変わりの早さには驚かされるが、どうも最近は天候が乱暴なように思えてならない。地球が何かに苛立っているかのようだ。

 先週の奄美大島での大雨、あれは何だったのだろう。当事者の皆さんは、未だに信じられない悪夢のように感じておられるのではないだろうか。遠い東京に住む私も、もしあのような水害に襲われたらどうするだろう、と思っただけで背筋が寒くなる。東京でも、集中豪雨のような雨の降り方が増えてきている。もしこれが地球温暖化の影響だとすれば、人間は地球に対して恐ろしい犯罪を犯していることになる。大変なことだ。

 天候が乱暴になるのに比例して、人の心も荒んできてはいないだろうか。世の中のニュースに耳を傾け、ネットで新聞を読んだりしていると、ふとそんな思いに駆られる。だが幸いなことに、私の周辺には心の温かい人が多い。今日も名古屋に出かけて、何人もの親切な人たちの世話になった。何一つ嫌なことはなく、無事に勤めを果たし、往復7時間の旅を終えることができた。この平和に感謝しなければならない。

 東京都の国立市が「平和都市宣言」を行って10年になるという。それを記念する事業として、一橋大学のゼミとの共催で、私のコンサートが企画された。明日はその打ち合わせで、「芸術産業論」という講義を担当しておられる林大樹先生とお会いすることになった。なかなか具体的な計画が決まらず、すでにコンサートまで3ヶ月と、日にちの余裕がなくなっているが、何とかして「平和を考えるコンサート」にふさわしい内容のものを作り、多くの市民の方々にお聴きいただける音楽会にしたいと思っている。

 最近、平和とは何だろう、とよく考える。たとえば尖閣諸島のような問題が起これば、すぐ「中国はけしからん」という話になる。確かに中国は平和的ではなかったが、それに乗せられる形で日本人の心までがとげとげしくなって良いのだろうか。今の中国は、巨大な牙を持つ猛獣のような存在になりかかっている。その牙をむかせないためには、私たちは心に「平和」という鎧を着け、しっかりと武装しなければならないと思う。人が仲良くすることの大切さ、協力して地球を守ることの大切さ、そうしたことを訴え続け、猛獣のようになりそうな相手に対しても平和の心の尊さを説き聞かせてゆくことが大切なのだと、私は信じている。

 音楽にどれほどの力があるかはわからないが、私が「人類の創造物の中で最も美しいもの」と信じる音楽によって、これからも平和の尊さと大切さを訴え続ける仕事をしていきたいと、気持ちを新たにしている。