最近の私

2017年4月3日

 昨日の日曜日は、2週間ぶりに外出の予定もなく、訪問者もないという、完全にフリーな1日だった。昨日の誕生日に頑張って3人を教え、今日をフリーにしようと決めて以来、ずっとこの日を楽しみにしていた。そして、今日は朝から電話もかからず、家の中にはとても静かな時間が流れている。
 先月は、ベルリンでの楽しい日々に始まったが、帰国後は風邪に悩まされる不快な日もあった。ベルリンフィルやベルリンオペラ、札幌公共楽団、ハンブルク・ピアノトリオなど、良い音楽会もたくさん聴けた。相撲では、新横綱稀勢の里の劇的な逆転優勝があり、野球ではWBCや高校野球、そして月末にはプロ野球も始まり、野球ずきの私にはどきどきするイベントが続いて、楽しい1カ月だった。
 そんな中、今年最初の大きな山であるCD録音が近づいており、26日と27日には岩崎洸さんと美寧子と3人で、集中的にリハーサルを行った。トリオの場合、一人で練習していると、「この弾き方で、合わせた時に大丈夫だろうか」と次第に不安が募ってきてしまうのだが、今回の練習で、久しぶりに合わせたにもかかわらず、3人が同じ音楽の方向を目指して努力できる素晴らしい仲間であることを再認識でき、とても意味のあるリハーサルになった。録音は4月の21日と22日だが、岩崎さんは今アメリカに帰国中である。18日に練習を再開し、限られた時間内でどんな録音ができるか、楽しみなチャレンジの日々が待っている。
 生徒のレッスンは、春休み中も続いている。めでたく高校を卒業した古澤香理さんは、ドイツ留学を控えて、準備に拍車がかかっている。今週の土曜日には、渋谷のサロンでリサイタルを開くが、既にチケットは完売しているという。その後1カ月と少しで、彼女はドイツへ旅立つ予定だ。
小学校3年生の春休みに初めて私のレッスン室を訪れて以来、9年という長い間一緒に勉強し、その素晴らしい成長の過程を見守ってこられたのは、私にとって復とない幸せな経験であった。 その彼女が留学するのは、まことに喜ばしいことだが、私には「毎週聴かせてもらっていた彼女の音が聴けなくなる」という寂しさもある。
 勿論、古澤さん以外にも未来のヴァイオリニストを目指して頑張っている生徒は何人もいるので、その人たちの指導に全力をあげるのは当然だが、彼女ほどの才能にはなかなか出会えないのも事実だし、その彼女を、まるで孫の面倒を見るような気持で教えてきた私としては、やはり喪失感を拭うことができない。これもまた、人生の一つの経験なのだろう。これから彼女がどんな風に変わって行くのかを、楽しみに見守ることにしよう。
 弟子といえば、火曜日には田島高宏君が同級生の竹原さんと、ヴァイオリン・デュオのリサイタルを開く。札響のブラームスの第1交響曲でのソロも素晴らしかったので、きっと明日も私の心を温かいもので満たしてくれるに違いない。楽しみにしている。