本業のお話し

2016年2月26日

 今日は、少し私の本業について書いてみたいと思う。スマホに夢中なのは、あくまでも趣味の話。本業は、勿論ヴァイオリンの演奏だ、と堅く信じている。そして副業が、ヴァイオリンのレッスン。こう考えると、最近は本業がほとんど失業状態で、副業はまあまあの忙しさ、といったところだ。
 昨年の12月23日、クリスマス・バッハシリーズで演奏した後は、5月22日の非公開コンサートまで、全く本番のない状態が続いている。去年も1月から3月までは仕事に恵まれなかったが、「バースデーコンサート」という大仕事を控えて、演奏は勿論のこと、さまざまな準備に追われていたため、本番がないのはかえって好都合とも言えるぐらいだった。だが今年は、自主公演が秋以降だし、まだそれまで時間があるので、どうもしゃきっとしない日が続いている。「練習をちゃんとしていなければ技術がおかしくなるし、譜読みも今からしっかりやっておかなければ後で痛い目に遭う」とわかっているのだが、気ばかり焦ってどうも能率が上がらない。
 とはいうものの、もし本番が多かったら、沖縄へ楽器を持たずに遊びに行くなどということは絶対にできなかったのだから、やはり今の私は「悠々自適」の生活を送っていると言えるかもしれない。明日も同窓会の集まりに出かけて行くし、読書やスマホと戯れる時間も十分にあって、まずは幸せな毎日なのだと思う。
 だが、こう書いていても、なんとなく負け惜しみのような気がする。本当は、次々本番に追われて、必死に練習している自分が大好きなのだ。しかし、現実を直視してしっかり対処するしかない。そんな私が毎日心がけているのは、技術の改善だ。力の抜き方、身体の使い方、そうしたことを研究しながら、いろんな曲をさらっている。昨日から始めたのは、シューベルトのファンタジー。これを弾くのは5年ぶりだが、ボーイングのコントロールや目まぐるしい左手のポジション移動など、技術の練習にはうってつけの曲だ。加えて、ウィーンらしい味のある音も、もっと追求して行きたいし、実に課題が多く、それだけに楽しく練習できる。
 だが、楽しくない練習もある。3日前、点訳グループにお願いしていたオネゲルの交響曲の譜面が出来上がった。まだ弓使いが決まっていないので、音が並んでいるだけの楽譜だが、初めて取り組む曲なので、8月のために今から譜読みをしておかないと心配だ。
 近代的な音の並びは、覚えるのに骨が折れる。今日で4日目だが、ようやく1楽章の中程まで覚えられた。少しずつ楽譜を読んでヴァイオリンで弾き、ある一定の範囲が弾けるようになったら、ヘッドフォンで音源を聴きながら一緒に弾いてみる。そんなことを繰り返す毎日である。曲自体は面白いし、これが覚えられればサイトウ・キネンの仲間と一緒に演奏する楽しみが待っている。しかし、暗譜は疲れるし、覚えた端から忘れてしまうのが情けなくて、放り出したくなることも少なくない。気が付けば、iPhoneをいじって遊んでいたり、ソファーにひっくり返ってうたた寝したり、とんでもない練習をやっている。もっと集中してしっかり取り組み、休憩時間はちゃんと休むという、メリハリのある生活をしなければダメである。
 譜読みに時間をかけすぎると疲れるし、孤独な作業に飽きてくるので、一応弾ける曲の練習時間を増やしてみようと考えて、今週はある程度能率が上げられた。これからも、適当に気分を変えながら、前向きな楽しい気持ちで日々の暮らしができるように、自分をコントロールできたらと願っている。