白馬での演奏を終えて

2014年6月30日

昨日は、白馬のホテル、ラ・ネージュと、北陸に本拠を置くフィルメイトという鑑賞団体の主催するコンサートに招かれ、白馬美術館で演奏した。長野まで新幹線、それからバスに1時間揺られ、目的地に着いて早速リハーサル、そして6時から役1時間半演奏したが、お客様に大変喜んでいただくことができた。
 シャガールの絵が展示された美術館で弾くというのは、なかなかユニークな経験だったが、私はそれよりも、2ヶ月も遠ざかっていた本番で自分の音楽が表現でき、それがちゃんと伝わるかが不安だった。
 練習したことが十分にできないところもあったが、技術的にかなり難しい曲を並べたプログラムも、なんとかこなすことができたし、「細やかな表情が美しく、心を打たれた」といったご感想が寄せられたのは、大きな励ましであった。
 昨日のコンサートを、私は「夏から秋に向けての仕事を前にした強化試合」と位置づけていた。私は、本番を経験することによって自分を高め、成長させてきた。その本番があまり多くない今の私は、本番が少なくてもレベルを維持し、アップさせる方法を模索しながら進まなければならない。それがちょっとでもできているかを実験するために、はるばる白馬まで出かけた。そして、「まだやれる。やらねばならない」との確信を持って白馬を後にした。
 38年前、まだ独身だった美寧子と夜行列車で訪れ、数人の仲間と共に遊んだ白馬、その思い出の地が、私に新たな勇気を与えてくれた。聴いて下さった方々に、心からお礼を申し上げたい。