第23回 和波 たかよし クリスマス・バッハシリーズ

2015年10月24日

2015年12月23日(水・祝) 14:00 東京文化会館小ホール

<無伴奏ヴァイオリンによるBach + two その2>

チラシ表面の画像

●J.S.バッハ(1685-1750)  無伴奏ヴァイオリンソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
●B.バルトーク(1881-1945)  無伴奏ヴァイオリンソナタ
●E.イザイ(1858-1931)  無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番 イ短調 op.27 no.2
●J.S.バッハ  無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
☆演奏に先だって、「今日の曲目について」と題した和波のトークがあります

 

23rd Takayoshi Wanami Christmas Bach Series
Wed. 23rd December 2015 at 2.00 p.m. at Tokyo Bunkakaikan Recital Hall

●J. S. Bach Sonata for solo violin no.1 in g minor BWV1001
●B. Bartok Sonata for solo violin
●E. Ysaye Sonata for solo violin no.2 in a minor op.27 no.2
●J. S. Bach Partita for solo violin no.3 in E Major BWV1006
☆Before the performance, there will be a short lecture by Takayoshi Wanami about the programme.

 

全席指定 A=\4500 B=\4000
主催・お問い合わせ 株式会社AMATI Tel 03-3560-3010


チラシ裏面の画像

ヴァイオリンのさまざまな可能性を求めて

和波 たかよし
今年の春、私は70歳の節目を超えました。「演奏できる時間は無限ではない」との切実な意識の中で、こうして今年もステージに立てることの幸せに感謝し、毎回このシリーズを支え、愛好してくださる多くの皆様に、心からのお礼の気持ちを捧げたいと思います。
去年から始めた「バッハプラス2」のシリーズ、第2回目は、バッハの2曲の間にバルトークとイザイを挟んだプログラムです。晩年のバルトークは、戦火を逃れてアメリカへ移住したものの、健康の悪化と貧困の中で失意の日々を送っていました。その彼に、唯一の無伴奏ヴァイオリンソナタを書く意欲を注ぎ込んだのは、青年ヴァイオリニストのメニューインでした。バルトークが、亡くなる直前の1945年に完成させたこの作品を、25年後に私がロンドンのコンクールに出場して、審査員だったメニューインの前で第1楽章を演奏したのです。極めて高度な技巧とともに、バッハの影響を受けた複雑な対位法や、ハンガリーの民族音楽のエネルギーなど、この曲にはさまざまな要素が織り込まれています。私はほぼ10年毎にこの作品と取り組んでいますが、今の自分の心の有様を正直に表現してみたいと思います。
一方、イザイの無伴奏ソナタ、第2番の最初の楽章には、後に聴いていただくバッハのパルティータ、第3番のプレリュードの断片がしつこく現れます。独自の音楽を作ろうとするのに、気が付けばバッハが入り込んでいる、といったイザイのいらだちにも似たものを、この不思議な曲から感じるのは私だけではないでしょう。音楽家としては大成功を収めたイザイですが、この作品には彼の心の「陰」の部分が描かれているように思います。
荘重で清らかなバッハと、20世紀の作品を対比させることで、それぞれの特色を味わっていただきながら、過ぎ去って行く年に思いを馳せ、来たるべき年への希望と祈りを分かち合う一時を、多くの皆様とご一緒に過ごせることを願っています。