難しいダイエット

2017年2月8日

毎年冬になると、体重の増えるのが悩みの種だ。寒いとどうしても運動不足になるから、それが原因かと思っているのだが、冬は何となく代謝が悪くなるような期がする。今年は、正月を過ぎてもほとんど体重が変わらないので喜んでいたのだが、1週間ほど前から急に増加し始め、あれよあれよという間に2キロ近く増えてしまった。どちらかと言えば原料、少なくとも現状維持を目標にしている身としては、かなり困った状況である。
 私が太り始めたのは、小学校高学年のころからだった。中学2年の体重測定で「59kg」と先生から宣告されたときはかなりのショックを受け、だいぶ長く悩んでいたのを思い出す。ただ、悩んだ結果どんなアクションをとったかについては、残念ながらほとんど記憶がない。家ではとにかくたくさん食べていたし、太って当たり前の生活をしていたのではないかと思う。
 その後も体重は増え続け、結婚当時は75kgを超えようかという勢いだった。美寧子は、そんな私を痩せさせようと決意し、食事の量を減らすことから始めた。ご飯は必ずお変わりしていたが、いつの間にか1膳になった。朝も、トーストを2枚食べていたのが、1枚になった。最初は物足りなくて、よく喧嘩をしたが、次第に私も、自分が太り過ぎているとの認識を持つようになり、ちょうど音声の出るヘルスメーターが出回り始めたこともあって、頻繁に体重計に乗って目方をコントロールするようになった。
 今は、当時よりほぼ10キロ減ったが、数年前、ジムでお世話になっていた先生に「和波さんはもっと減量しないと膝が痛くなるわよ」と脅された。義父が膝の痛みで困っていたのを見てきたから、「それはいかん」といっそう食事に注意し、ウォーキングなどにも出かけるようにしたが、64キロから65キロの間をなんとか維持している状態だ。
 減量に効果を挙げているのは、八ヶ岳での暮らしだ。サマーコースの期間中は夜までレッスンをすることが多いから、食事にあまり時間がかけられないし、食べる量も少なめになる。さ
らに、住まいからレッスン場までの坂道の上り下りも、体には良い影響があるのだろう。八ヶ岳から戻ると、体重が63キロ大に落ちていることもあって、「しめしめ」と喜ぶのだが、数日後には65キロ近くにまでリバウンドしてしまう。逆に、最も体重が増えて危険なのが松本での「オザワフェスティバル」だ。松本は食べ物が美味しいうえに、リハーサルの疲れやストレスを解消するために、ついつい食べてしまう。ホテル住まいで運動不足になるのも、増量の原因だろう。だから、ホールまで自転車で通ったり、暇を見つけてウォーキングに制を出すメンバーも少なくないが、簡単に動きの取れない私にとっては、運動に付き合ってくれるあいてを 見つけるのも大変だし運動する時間の余裕もなかなか持てないのである。東京に戻って体重計に乗る時は、かなり緊張するのだが、2キロ以上増えてしまっていることもある。それでも、しばらくの間食事に気を付けるなどしていればまた65キロ台に戻る。
 去年は、夏にとても忙しい思いをしたが、体重の増減は少なく、その点は喜んでいたのだった。だが、先月の終りごろから急に増量が始まってしまった。暴飲暴食をした覚えなどまったくないのだが、なぜか簡単に2キロ近くオーバーしてしまった。今月末には久しぶりにドイツとオーストリアを旅行するが、ヨーロッパへ行けばどうしても食べる量が多くなってしまうだろうから、出発前までに通常の体重に戻っておきたい。絶食などという強引な手段をとることなく、自然に減らしてゆけたらと思っている。
 それにしても、私の母は、いろいろ厳しいことを言う人だったが、私が太ることについてはほとんど何も言われた記憶がない。それどころか、母からは太りやすい食べ物を与えられていた気がする。中でも、グレープフルーツにたっぷり砂糖をかけて食べるのは、実にうまかった。今でもよくグレープフルーツを食べるが、美寧子は絶対に砂糖をかけたりはしない。最初はそれが物足りなくて、つらささえ感じたが、今は砂糖をかけて食べることなど考えられなくなった。コーヒーも、以前は砂糖を入れて飲んでいたが、今は砂糖なしでも美味しく飲める。そう言えば、最近古い知人とコーヒーを飲んだ時、「あれ?先生はお砂糖を入れるのではなかったですか」と聞かれ、「入れたり入れなかったり、いろいろだよ」と答えた。今でも甘くするのは好きだが、甘くなくても別の美味しさを感じるし、いつも甘くしていたら体にもよくない。体重が増え過ぎた今は、特に甘いものの量には気を付けようと思っている。